アメリカは嫌われています。多くの人を惹きつける一方で忌み嫌われてるのです。何故なのでしょうか。どちらにしてもアメリカは世界に大きな影響を与えている国です。世界はこれからどう変わっていくのでしょうか。
米国は戦争に依存している国です。戦争を起こして経済を回すという恒久的なシステムを内包しています。そのようなシステムを備えた初めての世界帝国といえます。
そもそも資本主義は、その仕組みにより恐慌や戦争を避けることができません。経済は需要と供給によって成り立っています。しかしその関係は安定したものではありません。画期的な商品が登場してもそこから得られる利益は時と共に減少してゆくのです。蓄積した利益が資本となりそれが大きなパワーとなって経済を推し進めてゆくのが資本主義です。それが上手く回らなくなるのです。
その障害がある程度まで大きくなると大恐慌が起きます。経済を支えている「信用」が崩壊するのです。人々は不安に襲われます。融資が止まり貸し剥がしが行われます。投資家はリスク資産を売り払います。多くの企業が倒産して失業者も増えます。大恐慌というのはいわば供給者の大規模な淘汰なのです。
戦争が起こる場合もあります。戦争ではインフラが破壊され人命がまたたく間に消えていきます。兵器を生産し戦争を維持するために多くの資金が必要となります。採算抜きで研究開発が行われ短期間で新しい発明が次々と生まれます。イノベーションにより生まれた新たな商品が市場に投入され人々の消費を喚起します。
戦争が終わった後にはインフラを再興し人材を育てる必要があります。ここにも莫大なカネがかかります。戦争は強制的な需要といえます。
このように、大恐慌や戦争による「供給者の淘汰」や「強制的な需要」により資本主義経済は再び息を吹き返すことができるのです。
戦争が経済に良い影響を与えるのが分かっていても、政治家が簡単に戦争を起こすことはできません。戦争で負ける側になっては元も子もないのです。
米国は自国を戦場とせずに恒久的に戦争を続けるシステムを作り上げました。しかしベトナム戦争では失敗しました。1971年に米国は金本位制から離脱し1970年代から1990年までのおよそ20年に渡り経済の停滞を続けたのです。
戦争経済を回すためには世界に対する大きな影響力を維持し続けながら公式・非公式の両方における巧みなコントロールが必要となります。その時の大統領がどう考えるかによっても変わってきます。場合によっては大統領が暗殺されることもあります。
アメリカからみると戦争を起こすのは安全保障上の理由もあります。アメリカは世界帝国でありながら、外国との戦いで自国を戦場にした経験が一度もありません。
例外は米国本土に潜水艦から砲弾を打ち込んだり爆撃したり風船爆弾を落としたりした日本による攻撃だけです。テロ行為もWTCに対するもののみでした。
米国は日本の真珠湾攻撃から学びました。孤立主義や他国への不干渉はかえって安全保障への脅威になる事をです。自国へ被害が及ぶ前に、他国で紛争を起こす必要があるのです。そうすれば本土を危険にさらす事なく原因を解決することができます。自国を傷つける事なく戦争の旨味だけを得ることも出来るのです。それは同時に世界的な核戦争を防ぐためでもあります。
このようなアメリカの意図は今や世界の人々にとって自明になっています。そのために平和を望む人々により米国は批判されているのです。ハリウッド映画は米国を美化するプロパガンダとしてもはや機能していません。
しかし戦争をどこかで起こさなければ大恐慌を免れることはできないのです。大恐慌と戦争の両方を避ける方法はないのでしょうか。そうしたければ資本主義から脱却するしかありません。
アメリカは衰退フェーズにあるとはいえ世界帝国です。経済力も軍事力も世界一です。基軸通貨はいまだに米ドルです。もしも仮にアメリカが崩壊するような場合があれば、今我々が見ているような資本主義経済の体制も消えることになるでしょう。
次の世界帝国は何処になるのでしょうか? それは分かりません。しかし恐らく現在の資本主義経済をそのまま引き継ぐものとはならないでしょう。まったく新しい価値観や思想を持つ国に取って代わられるはずです。それは人間を中心とした価値観と思想であるべきです。そのようにして世界はアングロサクソンのくびきから解放されるのです。
それが良いか悪いかは人によって異なります。結局のところアメリカが好きかどうかも総合的に考える必要があるのです。
いずれにしても次に起こる世界帝国の交代劇においては、大規模な世界戦争が起こることでしょう。その影響を免れる人は何処にもいないのです。
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