kurukuru89’s blog

主に原始キリスト教、哲学、心理、日本人について、気の赴くままに語ります。知識ではなく新しい視点、考え方を提供したいと思っています。内容は逆説的、独断的な、投影や空想も交えた極論ですが、日本人覚醒への願いを込めたエールであり、日本の発展に寄与する事を目的とします。(ここで言う日本及び日本人とはあたかもそれらを代表するが如く装うが、理性が未発達な為、感情的に動き、浅薄な信条に左右され社会に仇なしてしまう集団や人々を主に指しています)これらを通して人間に共通する問題をも探り散文的に表現していきます。

映画「007/ゴールドフィンガー」 -永遠の輝きに魅せられる人類-

ゴールドフィンガー」は、ジェームズ・ボンド映画シリーズの第3作です。1964年に公開されました。シリーズ初の大ヒット作となりました。この映画には幼稚な男児が夢描く、金塊、裸の女、銃、殺し、クルマ、アクションといった要素が全て詰まっています。

 

原作が書かれた1950年代は大戦の記憶が未だ生々しい時期でした。この物語に登場する悪役は「ゴールドフィンガー」と呼ばれ、ゴールドに異常な執着心を抱いています。大戦中にナチスの金塊輸送に関わって巨万の富を得たのです。

彼は強いドイツ訛りの英語を話すイギリス人です(原作ではユダヤ系という設定です)。容貌もドイツ人そのものです。冴えない中年男性で肥満体です。頭もハゲかかっています。カネに固執しますが性的不能者です。美女を傍らに置いて眺めているだけです。そこが色男のボンドとは対照的に描かれています。垢抜けないケンタッキー州に住んでいます(野暮ったいケンタッキーフライドチキンの店も登場します)。バーボンの産地であり、映画ではバーボンを揶揄する表現も出てきます。

 

彼は自分が所有するゴールドの価値を高めるために「グランドスラム作戦」という壮大な計画を立てます。アメリカはフォートノックスに保管されている政府保有の大量の金塊をコバルト爆弾を用い放射能で汚染させようというのです。計算によると半減期は58年です。その間はそれらのゴールドを加工したり所有したりする事が出来なくなります。ゴールドの価格は暴騰することになります。58年という期間はゴールドフィンガーの生存中に財を成すのに十分です。ゴールドを消滅させない所に彼の深い愛情が表れています。

ちなみにコバルト爆弾というのは、放射能汚染によって長期間に渡り地上を使用不可とする事を目的としています。使用者側にとってもデメリットが多いために実際に製造されることはありませんでした。しかしフィクションではよく登場します。たとえば映画「続・猿の惑星」でも地球を破壊する最終兵器として登場します。

 

ゴールドフィンガーは計画遂行の為に、中国人民解放軍の協力を得ます。ラテン系の人間を中心とする私設軍隊も備えています。「ア〜」という言葉しか発することの出来ないアジア系用心棒を傍らに置いています。ゴールドの密輸を行い、下品なイタリア系マフィアとも取引をしています。

 

彼の企みはイギリス・アメリカにとって到底容認出来ないものでした。当時はブレトン・ウッズ体制下であり、アメリカのドルにはゴールドの裏付けがありました。違法なゴールドの国際取引は重大な監視対象でした。

ゴールドフィンガーは違法取引を繰り返すだけでなく、ゴールドを独り占めにしようとしていたのです。ゴールドを制するものは世界を制します。つまり冴えないドイツ人が劣等人種と手を組み、アングロ・サクソンの経済支配を根底から揺るがそうとしていたのです。

 

彼らと比べてジェームズ・ボンドは遥かに洗練された人物として描かれています。教養があり、武器やクルマを自在に扱い、格闘にも優れています。カネにしか興味の無いゴールドフィンガーとは異なり、快楽を愛します。女をまるで犬のように手懐ける術も備えています。映画では青い目のブロンドばかりが登場します。不自然に胸を強調した服を着ています。彼女らの一人はプッシー・ガロアという屈辱的な名前を与えられています(プッシーは女性器のことです)。例外なく頭が悪く、ボンドの甘い言葉や暴力に屈して抱かれる事になります。

 

さて現代では通貨の価値が大きく下落し、世界中の人々がゴールドを買い求めています。ただし危機意識の低い日本人は、反対に手元の宝飾品を売って現金に換えています。彼らにとっては、手っ取り早く何でも買える現金こそが、価値あるものに見えているのです。

 

しかしながらゴールドを買っておけば安全というものではありません。「地上の宝」は盗人に奪われる可能性があります。古来より富と武力はワンセットでした。武力の裏付けのない富には意味がありません。庶民のゴールドはいずれ国に奪われる運命にあります。

 

第一次世界大戦後に極度に疲弊したイギリスは、1926年に金本位制から、金為替本位制へと移行しました。当時のポンドは世界の基軸通貨でした。そしてゴールドの裏付けがありました。しかしそのポンドが金の延べ棒としか交換出来なくなったのです。つまり国際間取引は引き続きゴールドがベースとなりましたが、一般人が気軽にゴールドを手に入れる事は出来なくなったのです。

世界恐慌後の1933年にはアメリカでゴールドや金証券の接収が始まりました。安値で国が強制的に買い取ったのです。鉱山のゴールドも接収されました。輸出も禁止されました。違反すれば厳しい罰則が待っていました。巨額の罰金や懲役刑です。アメリカ人はおそれおののきながらゴールドを差し出したのです。この時に建設されたのがケンタッキー州フォートノックスの金塊保管所なのです。

(一方でシルバーは、国にとりコストを掛けて接収する価値がありませんでした)

 

これから通貨の裏付けとしてゴールドが重要になってくれば、同じ事が起こります。それを察した途端に、高値で売り逃げようとする人々が殺到し、ゴールドは大暴落となります。それは決して遠い未来ではないのです。

007/ゴールドフィンガー

ゴールドフィンガー (字幕版)

007/ゴールドフィンガー(60周年記念盤/リマスター&拡張盤)(サウンドトラック)

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