日本人はギャンブルが大好きです。その日暮らしの人々です。彼らは短絡的な見方しかできず、眼の前の利益を追い求めるのです。
「追証」というキーワードでリアルタイム検索を行うと興味深いものが見られます。旦那に黙って信用取引をして1千万円の損失を出してしまった主婦がいます。彼女との結婚資金を投機に全て注ぎ込んで失ってしまい「どうしよう」と悩んでいる若者がいます。
ここ数日のドル円と金融相場の下げで5千万円の損を出してしまった会社員がいます。「年収10年分の損失が出た」と塗炭の苦しみです。それにも関わらず「残りの500万円を商品相場に注ぎ込んで10倍にすれば元に戻る」と呟いています。ギャンブラーの心理は正常ではありません。
しかしプロフィールを見ると何不自由ない家庭に育ち、大企業に勤め、平均を超える年収を得ている管理職なのです。本人は至って真面目です。それだけの損を抱えながらも相場から退場しません。そのうちに自分の子どもや妻を損切りせざるを得ないでしょう。
日本は不思議な国です。FX業者が幅を利かして大勢の日本人の心を捉えています。職場でも少なからぬ人々がFXに手を出しています。彼らも管理職です。「退職金や年金では老後が不安だから何とかしなければならない」と考えている真面目な人達です。
失礼ながらレバレッジを効かした為替取引なんてまったく正気ではありません。為替取引は一般向けではないのです。リスクヘッジとして為替を使うならともかく、「一発当てよう」なんて可能な訳がありません。
為替に影響する変数は、株式相場のそれとは比較になりません。あまりにも要素が多すぎて予想ができないのです。「長期的にどの方向へ行きそうか」と想像するくらいです。しかも要人のちょっとした発言で大きく変動します。政策金利の動向でそれまでの方向がガラッと変わってしまうからです。
為替アナリストは二流の人間がやる仕事です。考慮すべき要素が多い割には、まったく当てられないからです。
FXも物事をよくわかっていない二流の人間がやる取引です。出来るのは超短期で、動きの遅い人間を出し抜きながら利ざやを抜くことぐらいです。同じポジションを超長期で保つことはできませんし、中期の値動きで儲けようとすればカモになるだけです。
しかも土日を除くほぼ24時間相場が動いているのです。「会社勤めをしながらの合間で取引しよう」だなんて頭がおかしいとしか思えません。
しかし日本人はそう考えません。いつでも取引が出来て、上がるか下がるかだけ予想すれば良いので便利で簡単だと思っているのです。
FXだけに限りません。いま相場で苦しんでいる人たちは、円高になる可能性を考えなかったのでしょうか。日本の株式相場が下がったらどうすべきかの備えをしていなかったのでしょうか。タイミングを読むのは不可能です。けれども準備をしておくべきだったのです。
動画で丸の内OLがインタビューに応えています。「資産価値が10%下がりました。もっと勉強します」と語っています。こんなところにも日本人の考え違いが表れています。勉強や努力をすれば投機のタイミングを測れるようになると彼らは思っているのです。
日本人が相場で努力している事があります。「損切りルールの徹底」です。「投機でカネを注ぎ込むタイミングを測れる」と思っているのと同じように「ロスカットを上手くやる方法がある」と思っているのです。プロなら短期間で確実に利益を出さないといけないので損切りをするのは分かります。しかし素人が損切りが必須になるような取引をしている時点で間違っています。
また日本人がよく口にする言葉で「テンバガー」というのがあります。なんと彼らは、株でひと穴当てて資金を10倍にすることを夢見ているのです。欲深く頭のネジが緩んだ人々です。そもそも信用取引のレバレッジというのもリスクヘッジの為に生まれた仕組みです。それなのにリスクを取りに行く方に回るのです。どうにもわかりません。素人は基本的にバイ&ホールドで行くべきです。ただしリバランスやスイッチングは除いてです。
「オールイン」という言葉もあります。損切りをしたら次の商品を見つけて、そこに全財産を投入するのです。今まで失った金額を一気に取り戻そうと試みるのです。リスク分散とは真逆の行為です。まさにギャンブルと同じ感覚です。正気の沙汰ではありません。
相場で大きな儲けを得た人達の多くは偶然に過ぎません。その偶然が10年続くことさえあるのです。しかし時は残酷です。どこかで運が尽きて退場することになります。相場を退場するだけなら未だ良いですが、人生を退場することになるのです。彼らは相場が大きく動く度に淘汰されます。ゴミのように叩き落されていきます。
こうして投機にカネを回す余裕のある日本の中流層が少しづつ没落していきます。借金を背負い、まともな生活ができなくなるのです。
相場に限りません。日本人は一発逆転のギャンブルに賭けるのが大好きなのです。しかし本人はギャンブルだと思っていません。
職場で35年の住宅ローンを組んだ人がいました。変動金利です。歴史的な低金利が30年近くも続いたのだから固定金利で借りれば良かったのです。そうまでして更に低金利となるリスクを回避したかったのでしょうか。逆にこれからの高金利はどうするつもりなのでしょうか。60歳を過ぎても働ける確たる自信はあるのでしょうか。
ちょっとした損を避けたいがために、結果として大きな損をしてしまうという実例です。日本人はケチで臆病で大局を見れないので、大失敗に陥ります。
思想家のナシーム・ニコラス・タレブは日本を評して「ボラティリティを嫌い、その代わりに大きな損失を被る戦略を取っている」という意味の事を書いています。「コツコツドカン」です。1回失敗したら即退場という社会です。馬鹿げた努力には一生懸命ですが、方向を誤っているので最終的には破滅へと至ります。日本は、崩壊したあのソヴィエトと同じような国です。
太平洋戦争では、真珠湾攻撃のような一発逆転を最後まで期待していました。日米の国力の差は歴然で長期戦になればなるほど不利でした。しかし何処かで大勝利をすれば講和に持ち込めると考えていたのです。
今でも日本は経済を復活させるために、半導体に巨額の投資をしようとしています。もしそれが駄目だったらどうするのでしょうか。日本は自動車産業に大きく依存しています。旧態然とした業界を守るために、電気自動車へと舵取りをすることもできません。そのためにメディアを総動員して「トヨタは正しかった」と言わせています。
ガソリン車優位にしても、民主党のハリス優位にしても、日本の報道は実に歪んでいます。願望が事実とすり替えられています。日本のメディアの言うことを信じてはなりません。仕事だけでなく人生も誤ってしまうことになります。
日本の既存の半導体産業や、工作機械業界は今がピークです。これからは下がるばかりでしょう。もっともインフレがこのまま進めば、その分だけの株価は上昇していきますが…。
トランプ氏が大統領となることによって日本経済は大きな打撃を受けるでしょう。まずは大統領選が終わるまで様子見ですが、数年は我慢の時期が続くかもしれません。このままだと決算を過ぎた辺りから日本は本格的な不況に入るでしょう。「令和恐慌」の始まりです。
そもそも日本経済を復活させたいのなら、大規模な移民政策や教育に力を入れなければならないのに日本政府はそれをしません。
頭の弱い官僚が、巨大な国家プロジェクトを指揮しています。慎重なように見えて実は間抜けです。浅はかな思いつきのギャンブルに国家の命運を賭けているのです。これではソヴィエトの二の舞いです。国家が何もかも統制しようとして崩壊した国です。
一見慎重なように見える危険なギャンブルがあります。その一方で良いギャンブルもあります。たとえば研究開発は、広範な領域で「どれだけ失敗を繰り返すか」が鍵となります。それを見極められるものがこれから生き残っていくのです。