いまや日本の大宗を貧乏人が占めるようになりました。
我々は飢えています。バターの香りがするパンを食べたのは何時の頃だったでしょうか。カップ麺が無い日は、醤油ごはんやソースご飯で凌ぎます。食費は1日300円です。お腹を満たしても直ぐに何かを食べたくなります。たまに外食にありつける機会があると豚のようにガツガツ食らいます。
貧乏人の中でもとりわけ悲惨なのがシングルマザーです。子供だけが寂しさを紛らわせてくれる相手でしたが、今や邪魔で仕方がありません。暴力を振るうこともあります。自分が食っていくだけで精一杯です。まともな所はシングルマザーなどは雇ってくれません。たまにカネが入るとホストクラブで散財してしまいます。寄生する相手を求めていますが、婚活をしているのか売春をしているのか分かりません。心療内科に通いクスリを飲むようになりました。クスリが切れると居ても立っても居られません。借金だけでなく、市町村民税や国民健康保険税、年金、受信料の督促はひっきりなしにやって来ます。
現在この世界で10億人以上の人々が電力を使えない状況にあると言われています。日本もその仲間となります。人口が減少し、地方では採算が取れないのです。現場で働く作業員や技術者も不足しています。電力も含めて地方のインフラが崩壊するのは遠い未来の話ではありません。ガソリンや灯油だって手に入らなくなります。田舎では移動も困難になります。灼熱地獄でもエアコンは使えず、厳寒でも暖房の手段がありません。
食料も手に入らなくなります。天命の大飢饉では、我が子の頭をかち割って脳味噌を食らい飢えを凌いでいました。地方は悲惨な事になります。しかし報道はされません。その一方で都会のスラムに住む人々は、相変わらず「日本凄い」という自慰にふけり続けるのです。
日本は一種の鎖国状態になります。棄民政策の一環で外国に売られていく以外は、出国が困難となります。そもそも貨幣価値が違い過ぎて外では生活できません。老人は土地や財産を奪われて外国の収容所へ送り込まれ其処で処分されます。カネに任せて遊び呆け、日本をヨイショして来た彼らの人生は何だったのでしょうか。
治安も急激に悪化します。地方警察は交通警察と交番だけが機能しているようなものです。窃盗、強盗などはまず解決されません。これからは、地方の有力者が自警団を作ったり雇ったりして自分達を守る時代です。
国が末期に向かう場合には様々な予兆があります。
(1)荒唐無稽なスローガンが流行る。(2)政府がカネをつぎ込んで途方も無く無駄なプロジェクトを始める。(3)日本回帰が叫ばれ極右化する。(4)地方が衰退し貧乏になる。(5)外の情報が入ってこなくなる。(6)検閲や人事で自由な発言ができなくなる。(7)人命を軽視した施策が多くなる。(8)国が獣のごときその本性を現し独裁政権となる。(9)学者や芸人が太鼓持ちになる。(10)人々が傲慢になる。(11)同情心を失い互いに憎みあう。(12)外国人や弱者を排斥する。ざっと挙げてみただけでも、これだけあります。日本は急激に崩壊に向かって降下しています。
これからの日本人は三つに分かれていきます。(1)自ら考え付加価値を高めていく者、(2)合法、非合法、あらゆる手段を使ってサバイバルを試みる者、(3)相変わらず周囲に合わせて今までと同じことを繰り返す者です。3番目の人々は生き残れません。
分かっていても、多くの人たちは3つ目の生き方しか出来ないのです。そして「みんなで頑張ろう、耐えよう、乗り越えよう」と、くたばるまで言い続けるのです。
現実においてあらゆる事態がその無計画無能力を暴露しているにもかかわらずただ口頭のみにおいて空疎な強がりを宣伝し、不敗を呼号して国民を盲目的に引きずって行こうとする現状にはもはや愛想が尽きている。(中略)将来に何の希望をも繋ぎ得ない戦局を見せつけられ、加うるに低劣無慙なる茶番政治を見せつけられ、なおそのうえに腐敗の極ほとんど崩壊の前夜ともいうべき官庁行政を見せつけられ、なおかつ戦意を失わないものがあればそれは馬鹿か気違いである。
伊丹万作『戦争中止を望む』