kurukuru89’s blog

主に原始キリスト教、哲学、心理、日本人について、気の赴くままに語ります。知識ではなく新しい視点、考え方を提供したいと思っています。内容は逆説的、独断的な、投影や空想も交えた極論ですが、日本人覚醒への願いを込めたエールであり、日本の発展に寄与する事を目的とします。(ここで言う日本及び日本人とはあたかもそれらを代表するが如く装うが、理性が未発達な為、感情的に動き、浅薄な信条に左右され社会に仇なしてしまう集団や人々を主に指しています)これらを通して人間に共通する問題をも探り散文的に表現していきます。

トヨタMR2 GTとニュルブルクリンク


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トヨタMR2(SW20)は、1989年から1999年まで製造されていたクルマです。トヨタ初のミッドシップ車である先代のAW11型をさらにパワーアップしてデザインも一新したクルマです。AW11はポンティアックフィエロを真似たものですが、SW20はフェラーリを真似たデザインになっています。

 

SW20の中でも初期のモデルは難しい運転を強いられるものでした。リア周りのサスペンションはコストと納期重視で開発されたもので検証が不十分だったのです。コーナーの前後で唐突にリアタイヤが滑り出してしまうのです。コーナー入口でブレーキを踏んだりアクセルをオフにするとリアが外に出ます。コーナー脱出でアクセルを踏み込んでもリアが滑り出すのです。ターボモデルであるGTではより激しい挙動を示しました。

 

特に難しいのはコーナー進入時のタックインです。リアが流れる速度はポルシェ911よりも速くそこから回復させるのも遥かに困難でした。しかも「まさかこの速度で」といったレベルで発生するのです。予兆もなく唐突に滑り出すわけです。何回か危ない経験をして慣れる他ありません。ただしマイナーチェンジを繰り返すにつれてこの急激な挙動変化は改善されていったようです。

上記のニュルブルクリンクでの走行では、ミッドシップらしく理想的なラインを描いてコーナーをクリアしています。しかし、3:19、4:26、6:58辺りで急激なリバースステアを見ることができます。

 

MR2はボディ剛性にも致命的な欠点がありました。通常のミッドシップ車はフロントをクラッシャブルゾーンとして使えるので比較的安全です。しかしMR2の場合は、キャビン剛性が著しく弱く、衝突した際にキャビンを中心として「く」の字に折れ曲がってしまうのです。特にTバールーフモデルでは顕著でした。ドライバーの生存可能性も低くなります。当時は車種ごとに交通事故死亡者数が発表されていましたが、MR2は上位の常連だったのです。

「見た目が良くトヨタが販売している安心安全なクルマだから」という理由で親が息子や娘に買い与えるケースもありました。ところが実は当時販売されていた中で最も危険なクルマだったのです。

 

とはいえ危険は、楽しさと表裏一体です。日常的な走行でも死と隣り合わせのスリルを味わえるクルマだったのです。またフェラーリに似たミッドシップ車を安価に手に入れられるという魅力もありました。ボンネットは多段プレスによる複雑な造形で美しい曲線を描いています。シートは体にフィットするように作られ部分的に本革が使われています。オーディオも当時としては奢ったものが採用されていました。

またターボモデルならば、直線の加速力も速い方でした。発進加速でこれを上回る日本車は当時ではスカイラインGT-Rだけでした。GT-Rがノーマルならば中間加速ではMR2の方が速かったのです。制動力もかなり優れていました。要するに直線で加速し停まる分には良いクルマだったのです。

 

ステアリングの遊びが大きく、手応えも曖昧でしたが、ミッドシップの挙動を楽しむ事は出来ました。アクセルやブレーキ操作を併用する事で、ステアリングを少し切り込んだだけで交差点を曲がる事ができます。

アンダーが強めですが、アクセル操作により中速域のコーナーも軽快に駆け抜けて行く事ができます。ただし無理は禁物です。できるだけ急ブレーキや急なアクセル操作を避け、流れるようなステアリング操作でスムーズに走るのが安全な遊び方です。

 

結果としてスペックほどに速くは走れませんが楽しいクルマです。最高峰のターボモデルはわざわざ「GT」と銘打ってあるように、GTカーとして扱うのが妥当です。ミッドシップと言いながらリアヘビーなクルマでもありました。レベルは違いますがポルシェターボ(930ターボ)と性格がよく似たクルマです。


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