kurukuru89’s blog

主に原始キリスト教、哲学、心理、日本人について、気の赴くままに語ります。知識ではなく新しい視点、考え方を提供したいと思っています。内容は逆説的、独断的な、投影や空想も交えた極論ですが、日本人覚醒への願いを込めたエールであり、日本の発展に寄与する事を目的とします。(ここで言う日本及び日本人とはあたかもそれらを代表するが如く装うが、理性が未発達な為、感情的に動き、浅薄な信条に左右され社会に仇なしてしまう集団や人々を主に指しています)これらを通して人間に共通する問題をも探り散文的に表現していきます。

インフレが進み貧しくなる日本

インフレーションが進んでいます。手持ちの現金だけではなく、これから受け取るであろう所得にも影響します。それを防ぐ手立ては何かあるのでしょうか。

 

日本では長くデフレが続いてきました。ところが2022年から物価高が進んでいます。消費者物価指数から算出して、インフレ率を去年が2.5%、今年は2.7%とする数字があります。しかも商品の値段と株のような資産価値の両方が上がっています。フローとストック両方のインフレということです。

今回のインフレは、低金利だけでなく原材料高騰や供給網の分断、日本の生産性低下に伴う円の購買力低下が原因ですから事は深刻です。当面回復する見込みはありません。円安で利益を得ていた輸出業者だって間もなく苦境に陥るのです。国力が弱まっている証拠なのに円安を喜ぶ馬鹿な連中もいます。

 

カネは大事です。旧約聖書に「金は身の守り」という記述があります。新約聖書でもカネに絡んだ例え話が数多く出てきます。ある裕福な主人が長く家を留守にすることになり、自分の奴隷へ能力に応じた額を預けました。もっとも能力の低い奴隷は、そのカネを「怖いから」という理由で何の運用もせずに溜め込んでいました。対して他の奴隷は、それを元手に事業を興し資産を増やしていたのです。主人は怠惰な奴隷を「せめて銀行に預けておけば利子が得られたのだ」と厳しく叱り、奴隷は職を失ってしまいました(マタイ25章)。今の日本人はこの間抜けな奴隷と同じです。

 

国民の資産を容赦なく毀損する要素は2つあります。税金とインフレです。国はさらなる税金の追加と増税に余念がありません。国民から搾り取らなければ、自分たちが破産してしまうからです。世襲政治家が今の地位を保つにもカネが必要です。

税金と同じようにインフレも破壊的な影響を及ぼします。インフレは恐ろしいものです。1960年の大卒初任給は1万3千円でした。それが2003年には20万円となりました。それだけ物価が上がったのです。インフレへ誘導することで良い影響が出ることもあります。ひょっとしたら景気が回復するかもしれません。けれどもその恩恵にあずかれない者は物価高で苦しむことになるのです。

 

貯蓄や投資は複利によって大きな富を生み出します。それと同じようにインフレもマイナスの複利効果によって莫大な損害をもたらします。

いま手元に100万円があるとします。インフレ率を3%としましょう。そのまま現金で持っていたとすると、10年後には70万円ちょっと、30年後には40万円くらいの価値にまで下がってしまうのです。もちろんインフレ率がさらに酷くなれば、これで済みません。

 

「貯金はほとんど無いから気にしない」という人がいるかもしれません。しかしこれから受け取る給与だって資産なのです。これから昇給していく見込みはあるでしょうか。ボーナスや退職金はいくら貰えるのか分かっているでしょうか?

 

日本の年功序列や退職金制度は、本来貰えるはずのサラリーを後回しにして、労働者を会社に縛り付けておくシステムです。途中で転職をしたら大損です。就活で「御社の退職金は幾らでしょうか?」と尋ねる学生はいません。けれども大事なことなのです。ここを明らかにしない会社はフェアとは言えないでしょう。

 

たとえ退職金の額が明らかになったとしても、それを得られる保証はありません。転籍出向で満額は貰えないかもしれません。インフレが進んで価値が大きく目減りしてしまうかもしれません。もし会社の業績が伸びれば、ボーナスや退職金を積み増す事はあるでしょう。けれども単に「インフレが進んだから退職金を倍にします」という企業は無いのです。

 

大企業は様々な点で恵まれています。社員を海外の有名大学に留学させるような企業のことです。そういった会社では、社員に月当たり1千万円以上のコストをかけています。格安の寮や社宅、社食も用意されています。給与以外に無税で直接口座に振り込まれる手当もあります。それだけのコストをかけているのですから、社員が辞めないようにいろいろと工夫をしています。

 

反対に派遣社員はどうでしょうか。登録会社のリストに名前が載っているだけです。安い給与以外はほとんどコストがかかっていません。スマホや通信費、クルマや交通費も自腹です。パソコンも自分で買わなければいけません。時間給なのに営業時間中の移動は勤務時間とみなされません。事務連絡や申請をする時間も無償奉仕です。会社としてはいつ辞めてもらっても構わないゴミのような存在なのです。

 

新入社員の給与はどこも横並びですが、その後の伸びが違います。大きな会社では数年くらい経つと月給が10万円近く上ります。そのくらい上がらなければ家庭を持つことができません。一方で小さな会社は、昇格が無い限り、毎年ちょっとづつ上がっていくだけです。全く昇給が無い所さえあります。インフレが進んでいる現在、そのような会社に勤めている人の給与はどんどん下がっているのと同じ事なのです。毎年3%のインフレ率ならば、最低でも毎年3%以上は昇給していくべきです。

自分が将来どのくらいの給与を得られるかを把握しておくのは大切です。退職金が5千万円貰えそうだとしても、40年後には3割の1,500万円程度の価値しかないのです。トヨタのクラウンがようやく2台買えるくらいです。

 

インフレが進みそうだということで、キャッシュを実物資産に変えている人もいます。超高級腕時計や超高級スポーツカー、不動産、ゴールドなどの価値が目減りしにくいものへの移動です。1987年式のポルシェ911ターボ(バブル期に多く輸入された年式です)は、2000年頃に380万円程度で買うことができました。20年経った現在では、まったく同じ年式のクルマが「応談」となっています。2千万円以上ということです。5倍になった訳です。これは極端な例です。ただこういった行為は、あくまで転売して儲けようというものではなく、資産防衛を目的としたリスクヘッジなのです。デフレが終わった今、現金は流動性が高いという以外の意味がありません。

 

ことほど左様に紙幣の価値というのは頼りないものなのです。「だから貯蓄はやめて投資をしよう」というのが国のメッセージです。

とはいえ「じゃあ投資をしよう」と気軽に飛びつくと落とし穴に嵌る場合があります。長期間にわたる分散投資でバイ&ホールドという原則を守ろうとしても、そうはいかないのが人間なのです。

 

投資をして、時間が経つにつれて複利効果で大きく増えていくと分かっていても、最初は少しづつしか増えないので不安になるかもしれません。30年近く持っていれば当然相場が暴落することもあります。1989年に38,915円をつけた日経平均株価は、2009年には1/5の7,054円となってしまいました。現在の日経平均は、未だに1989年の株価を超えることができていません。

もしあなたの資産が1/5にまで減ってしまったらどうでしょうか。カネが入用だったらどうしますか。「統計的には長期の株式投資が一番リターンが見込めるのだ」と自分に言い聞かせて、積立を続けるでしょうか?

 

リスクのある投資に絶対なんてものは無いのです。余裕資金の目減りを抑えるためにリスクの低い実物資産に変えるのと、乏しい資産を2倍、3倍、あるいは10倍にしようとハイリスクな投機を繰り返すのとは、全く違う行為です。後者は取り返しのつかない大失敗につながる可能性が高いのです。

 

だから、投機に向かうのではなく、賃金を上げるように努力するほうがはるかにまともです。スキルを身につけるだけではありません。賃上げ交渉は一人では無理ですから、強力な労働組合が必要です。あなたの職場の労働組合は義務を果たしているでしょうか。奴らを食わせるために、毎月労働組合費を払っているはずです。働きが悪かったら、彼らを放逐しなければいけません。

 

退職金が企業型確定拠出年金に変わってしまった所も多いと思います。米国の401K に倣ったものですが、酷い制度です。数時間の説明会を受けただけで、自分でポートフォリオを組まされ、あとは自己責任となるのです。

安全と思える元本保証の定期預金を中心としたポートフォリオを組むこともできます。しかしインフレが進行中なのです。少なくとも3%を超える運用益が必要です。定期預金などでは絶対に無理です。税の控除が受けられるといってもインフレの前ではその効果は微微たるものです。そんなことなら、目減りした1,500万円を将来受け取るよりも、現在それを受け取ったほうが遥かに良いに決まっています。それを自分に投資する事によって、将来大きなリターンを得られるかもしれません。

 

とはいっても、確定拠出年金は退職金のみならず年金としての意味合いもあるのです。「将来年金はどうなるか分からないから、老後はこれで暮らしてね」という国からの冷たい(あるいは温かい?)メッセージです。

本来ならば、国民を不安にさせることなく、国がこれからも年金を支給すべきなのです。それが叶わないのなら、企業が物価高に連動して給与や退職金を上げるべきなのです。そもそも給与の後払いに過ぎない退職金制度は止めて、給与を大幅に上げるべきでしょう。

 

元本保証の定期預金や個人向け国債で利子が3%以上というのがあれば良いのですが、こんなに金利が低くてはそれも無理です。どこかのファンドが、庶民向けに30年間は元本と利子を保証してくれる金融商品を提供してくれないでしょうか。その代わりに富裕層向けにハイリスク・ハイリターンの商品も提供して元をとるのです。

 

多額の国債を発行し、日本の経済力が落ちてしまっている今、なかなか出口が見えてこない状況です。日本は世界一の対外純資産を持っています。けれども換金などままなりません。もし世界的な不況が発生したら、真っ先にデフォルトしてしまうのが日本です。日本国債が暴落し、国債で運用している年金制度は崩壊し、含み損を抱えた多くの金融機関が潰れることになります。

日銀が望んだ物価上昇局面となりましたが、彼らはインフレを抑える手段を持ち合わせていません。インフレが進んでも金利を上げることなど出来ないのです。国債が暴落してしまいます。たとえ政策金利短期金利)を抑えたとしても長期金利は上がっていきます。いずれにしても破綻は避けられないのです。

 

誰か明るい未来を描いてくれないでしょうか。日本人には勤勉なところがあります。バブル期よりも今の日本人のほうが余程まともに働いています。正しい方向に向けて労働者を働かせ、きちんと報いてやるという仕組みを作るのが大切です。

中抜き企業やゾンビ企業、金融機関、不良社員を淘汰し、外国人を大量に受け入れることで日本が復活する可能性はあるでしょう。口先だけでなく、外国人労働者とその家族の受け入れを大規模に実施することで、外国人投資家の日本への評価も大分変わるはずです。カルト宗教を援助する「○民党支持者」という痴呆集団がこれに反対して日本の国益を損なっています。

 

「持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」(マタイ25:29)。このままでは、この言葉が現実のものとなってしまうのです。

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