kurukuru89’s blog

主に原始キリスト教、哲学、心理、日本人について、気の赴くままに語ります。知識ではなく新しい視点、考え方を提供したいと思っています。内容は逆説的、独断的な、投影や空想も交えた極論ですが、日本人覚醒への願いを込めたエールであり、日本の発展に寄与する事を目的とします。(ここで言う日本及び日本人とはあたかもそれらを代表するが如く装うが、理性が未発達な為、感情的に動き、浅薄な信条に左右され社会に仇なしてしまう集団や人々を主に指しています)これらを通して人間に共通する問題をも探り散文的に表現していきます。

睡眠不足の日本人

日本人は睡眠不足です。そのために多くの問題を引き起こしています。これを改善するにはどうしたら良いのでしょう。

 

人間は7時間から8時間の睡眠を必要としています。これはベッドで横になっている時間ではありません。実際に寝ている時間です。

 

睡眠はとても大切です。睡眠中に人体が何も活動していないわけではありません。むしろ脳は活発に動いているのです。脳は、ノンレム睡眠中に海馬にある短期記憶を脳の長期記憶エリアに移動します。そして脳の老廃物を洗い流します(グリンパティックシステム)。レム睡眠中は移動された記憶と既存の記憶内容とを適切に繋げる作業が行われています。これが新しい発想の源となります。

3日間の睡眠不足で人間は正気を失います。統合失調症鬱病、不安性のような症状を見せるのです。気分が落ち込み幻覚が現れるのです。認知機能は著しく低下します。被害妄想にも囚われやすくなります。

 

睡眠不足は飲酒と同じくらい人間の認知能力を弱めます。たとえば交通事故を起こしやすくなります。特に怖いのはマイクロスリープです。意識が数秒間から数十秒間にわたり途絶えてしまうのです。不眠と飲酒は相乗効果があります。つまり不眠で事故の確率が3倍、飲酒で事故確率が3倍なら、結果として事故確率は9倍となります。飲酒の危険性は良く言われますが、不眠の危険性についてはあまり言及されません。現在の文明社会では不眠が避けられないものとなっているからです。けれども近頃の日本人は睡眠不足を重ねて事故を起こし巻くっているのです。

 

アルコールや睡眠薬精神安定剤は健康な眠りの妨げとなります。これらは同じ様な作用機序を持っています。つまり大脳皮質を麻痺させて意識を失わさせる効果があります。そのため寝付きは改善されたように感じます。しかし脳の深部は眠っていないのです。脳波を測定するとこれらは健康な睡眠とは全く異なります。

 

睡眠不足は日々の生活にも大きな影響を与えます。仕事では生産性や創造性を損ないます。判断力や倫理観さえ損ないます。感情が制御できず揺れ幅が極端になります。それだけではありません。人の表情や感情を正しく読み取れなくなるのです。共感力も低くなります。EQが大幅に低下するのです。当然、社会の動きを正しく読んで行動する事も出来なくなります。

睡眠の不足は週末にぐっすり眠ったからといって解消はされません。睡眠不足は負債であり同じ量の睡眠によってしか返せないのです。クスリではどうにもなりません。休息でも僅かしか消えないのです。驚くべき事に多くの人々がこれを認識していません。

 

日中に我々が活動する間、脳にはアデノシンという疲労物質が溜まり続けます(細胞にエネルギーを提供するアデノシン三リン酸が分解されて出来る物質です)。これが睡眠圧力となって眠気を及ぼします。眠らない限り消えません。活動量に比例してアデノシンが溜まって行くのですから、起きていた分量に応じた睡眠を取らない限り消えないのです。しかしそれは事実上不可能なことです。つまり睡眠不足は脳に不可逆的なダメージを与えてしまうのです。多くの人々がぼんやりとした意識で仕事をこなしているわけです。こうなってしまったら長期間休職するくらいしか方法がありません。

 

カフェインはこのアデノシンの作用を一時的に止めることができます。しかしそれは飽くまで一時的です。

アデノシンは睡眠圧力であり眠気を催します。眠るためにはアデノシンの量だけでなく、他の要素も関係しています。ひとつは体内時計です。人間の体内時計は実は24時間ではなく少し長めです。体内時計は朝に日光のような強い光を浴びる事でリセットされます。逆に夜となると今度はメラトニンが生成されて眠気を及ぼします。アデノシン。体内時計。メラトニン。この3つが健康な睡眠をもたらす要素です。

 

しかし現代は人工的な光で溢れています。オフィスはもちろん帰りの電車もLED照明が隅々を明るく照らし出しています。家に帰ってもLEDが輝いています。さらに人々は眠る直前までTVを見たりスマホを見たりしています。

これに加えて日中にカフェインを取りすぎています。脳にアデノシンが溜まっていても眠れないのです。そのためにアルコールや睡眠薬、安定剤の力を借ります。しかしそれでは本当の睡眠は得られません。朝になると今度はまたカフェインの助けを借りて仕事を始めるのです。

 

人間の脳は、眠りによって大きく進化しました。我々の祖先は木の上で生活していました。地上で眠ると獣の良い餌食となってしまうのです。けれども木の上では筋肉を完全に弛緩させて眠ってしまうわけにはいきません。レム睡眠中は全身の筋肉がすっかり緩んでしまうのです。しかし我々は何時の頃からか地上で暮らすようになりました。火を手に入れ、集団で眠り「見張り」を立てる事で自分たちを守ったのです。これにより人間は長時間の睡眠が可能となったのです。長い睡眠により脳のネットワークを存分に発達させることが出来たのです。

しかるに現代人は睡眠を捨てて脳を損なっているのです。このままでは人間は退化して行くでしょう。

 

現代では、新生児も明るい部屋で眠らされており良質な睡眠を奪われています。集中治療室における患者も同様です。「放って置いても勝手に眠るから良いだろう」とは行かないのです。

治療する医者の方も寝不足が慢性化しています。彼らの多くは単純な医療事故や交通事故を多く起こしています。

外科手術に初めてゴム手袋を採用した事で有名なウィリアム・スチュワート・ハルステッドという人がいます。ジョン・ホプキンス大学初代外科部長です。彼は現代の研修医制度の礎を築きました。しかし彼はコカイン依存症でもあったのです(晩年はモルヒネ依存症も併発)。彼は自分を基準にしてこの制度を作りました。つまり長時間労働と睡眠不足が常態化するような制度だったのです。

 

日本人はもっと睡眠時間を確保すべきです。どうしたら良いのでしょうか。まずは当たり前の話ですが時間を確保することです。平日も週末も同じような時刻に寝て、決めた時刻に起きるようにします(目覚まし時計はなしで)。

 

睡眠の前半はノンレム睡眠の割合が多く、後半は逆にレム睡眠の割合が多くなっています。それゆえ就寝時間が遅いとノンレム睡眠が削られ、起床時間が早いとレム睡眠が削られます。どちらも大事ですが、どちらかといえばレム睡眠が削られた場合の方が人間の認知機能に大きな影響を及ぼします。

 

就寝前は運動や食事を避けます。強い光、特に蛍光灯やスマホから発せられるブルーライトも避けるようにします。室内の灯りは、高級ホテルのような暖色系のスタンドや間接照明を主体とすべきです。

食事の内容にも気をつけるようにします。炭水化物の割合が多くなると睡眠に悪い影響があります。7割を超えると良くないという研究結果もあります。日本人はもっと脂質やタンパク質の割合を多くすべきです(ただしトランス脂肪酸は別です)。

 

就寝の1時間半から2時間前にお風呂に入るのは睡眠にとり良い方法です。体の深部体温が低くなるからです。お風呂に入ると血行が良くなり、体表面近くの放熱が促され結果として深部体温が下がるのです。加えて寝る前に手や顔を洗うと放熱効果が高まります。

同じ理屈で室内の温度や湿度も下げるべきです。温度はあなたが思っている以上に低いレベルにすべきです。個人差がありますので自分で調べた上で試してみてください。エアコンの設定温度を等しく25度にすべきという理由は全く無いのです。

 

可能なら昼寝をするのも効果的です。NASAGoogleMicrosoftAppleのように昼寝を積極的に推奨している組織や企業もあります。

当然のことながら、カフェインやアルコールの摂取、睡眠薬精神安定剤の服用は避けたほうが良いです。上でも触れたようにカフェインは一時的にアデノシンの作用を止めているだけでアデノシンの量を減らすことはできません。アルコールやクスリは大脳皮質を麻痺させているだけで睡眠とは異なります。それらはノンレム睡眠レム睡眠を抑制します。特にアルコールはレム睡眠を強く抑制します。その反動で明け方に悪夢を見ることが多くなります。

 

朝に強い光を浴びて体内時計をリセットするようにし、逆に睡眠の数時間前からは強い光を避けることも大切です。

悩み事や考え事はノルアドレナリンコルチゾールを増やし安眠を妨げます。不要な刺激を避けるだけでなく自分の脳をよくコントロールすることが必要です。

 

現代人は仕事の為に、アクセルとブレーキを同時に踏むようなことをしています。昼はエナジードリンクやカフェイン、ニコチン、ドラッグで仕事をこなし、夕方から夜にかけてはアルコールやドラッグ、クスリをとって眠ろうとする。そこまでしてやるべき仕事とは何なのでしょうか。良く考える必要があるでしょう。

 

日本は努力が評価される社会です。成果よりもプロセスが重要となります。生産性や創造性は二の次です。仕事自体が目的とされており都合よく搾取されています。そもそも成果を生まない努力など意味がありません。

 

これからは「ただ努力しています」という人間は不要となるのです。彼らは貴重な資源と時間を食い潰す厄介な存在です。そうならない為には、食事と睡眠という基本的なことが、まずもって必要なのです。

睡眠こそ最強の解決策である

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