資本主義は格差を助長するシステムです。国境を超えて富を蓄える人々がいる一方で、貧困にあえぐ人達もいます。格差とそれを巡る争いは絶えることがありません。この不完全なシステムを正していく仕組みが必要です。日本ではそれが働いていないのです。
トランプ氏はかなり誤解されてきた人物です。彼の登場も上に述べたような文脈で捉えなければなりません。アメリカは世界最大の経済大国でありながら、グローバル化によって貧しい人々も大勢いる国です。彼らの希望の星となっているのがトランプなのです。
グレタ・トゥーンベリさんのような環境活動家や、ジェンダー平等を謳う人達、グローバリスト、軍産複合体の関係者がトランプ氏を忌み嫌うのは分かります。けれども、そうでは無い人があれこれ悪口を言っている状況には首をかしげざるを得ません。単に感情的な印象論を語っているきらいはないでしょうか。
確かにトランプ氏の考えは「アメリカさえ良ければいい」というものです。この点はぶれていません。同時に「グローバル世界」「環境」「持続可能な社会」はどうでも良いということでもあります。それよりも大統領となって「貧困や治安の悪さで苦しんでいるアメリカ国民を何とかしたい」というわけです。
諸外国にとっては迷惑な話です。アメリカが孤立主義をとれば、米国相手に貿易をしている企業は困ります。米国の威光にすがっている属国も不安になってしまいます。アメリカに続いて他の国々も孤立主義をとれば、世界経済は滞り、再び世界大戦が起こるかもしれません。
とはいえ、少なくとも貧しい庶民が安心できるような社会が実現することになるでしょう。独裁者となってしまうかもしれませんが、国民は彼にすがる他はありません。米国の株価も、トランプ氏が大統領に就任した直後は下がるかもしれませんが、その後は順調に上がっていくでしょう。
何よりも戦争に膨大なカネが流れる仕組みにストップがかかります。わざわざ世界の紛争地域をつついて回るような事もなくなります。大量虐殺に我慢がならない人々はトランプを支持すべきではないでしょうか。
彼が類稀な傑出した人物であるのは否定できないでしょう。人格に問題があり、差別主義者であるかもしれません。しかし重要な点では間違えていません。どれだけ悪しざまに言われようが傷つかないタフな心臓を持ち、何度破産しても蘇ります。収監や暗殺の危険性をも顧みません。行動力や交渉力は、ずば抜けています。
資本主義と格差拡大は切っても切れません。資本主義は搾取する側と搾取される側が存在しないと成立しないシステムだからです。不平等の存在が前提であり、それをさらに拡大させる仕組みだからです。敗者がいるからこそ、勝者が相対的な幸福を得られるシステムなのです。
それでも、もし民主主義の仕組みがうまく機能していれば、民の声を国政に反映させて不平等を正して行くことができるのです。腐敗政治家は追放され、税制が適切に改正され、富の再分配が行われます。
しかしそのような国とは異なり、民主主義が機能していない国があります。それどころか資本主義さえ上手くいっていません。悪夢としかいいようがありません。それが日本という国です。泥棒や殺人者が政治を執り行っていても、法の下で裁くどころか、辞めさせることさえできないのです。
トランプは完璧な指導者ではありません。また彼であってもやれる事は限られます。民主主義のシステムだって、そもそも不完全なものです。
それでも彼らが自分たちの指導者を自分たちで決められることに、羨ましさを感じてしまうのです。