「ソーセージ・パーティー」という映画があります。スーパーに売られている食材達を主人公にした寓話です。彼らは神(人間)に選ばれることによって永遠の地に行けると信じていましたが、実際には切り刻まれて食われるという真実を知ります。天国に行けるというのは作り話だったのです。
神(人間)を倒したあと、食材達はもうひとつの真実を知ります。彼らは娯楽の為に作られた仮想世界の住人に過ぎなかったのです。主人公達は異次元転送装置を作り上げ、彼らを創った存在と対峙するために旅立ちます。
我々が住む物理世界は偶然とは思えないほどよく出来ています。しかしこの世界は神がいなくても動いています。もし誰かがこの世界を創ったのだとしたら、彼らはこの世界を放り出して、一体、今何をしているのでしょうか。
この広大な物理世界と比べて、ちっぽけな存在の人間ですが、ひとつ興味深いことがあります。仮想世界の住人はその世界を抜け出したり、その世界自体を破壊したりは出来ないものですが、人間はこの世界に大きな影響を与えられるかもしれないのです。
もしかすると、ブラックホールを発生させるとか、反物質を生成して物質を消滅させるとか、宇宙の膨張と収縮のバランスを変えるとか、そのような大きな変化を起こそうとすることによって、上位の生命体がこの世界に干渉してくるかもしれません。未だ大したことが出来る段階ではないと思いますが、我々はこの世界を大きく変えられる何かを見つける可能性があります。
上位の干渉は、洪水や言語の混乱といったレベルかもしれませんが、それでも仕掛けた人にとっては確かに「それ」が我々に干渉してきたという事を知ることができるのです。「それ」は我々が謎を解くのを待っていたのかもしれません。あるいはこの世界はあえなく消滅してしまい、「それ」は人が右往左往し世界がゲームオーバーする様を面白がって見ているだけなのかもしれません。
酷い話だと思うかもしれませんが、このように考えている力と知恵を備えた人々はそれほど少なくはないと思えます。座って真理を追究するだけではなく、この世界を舞台とした壮大な実験という誘惑に勝てない人もいるのです。何しろ鍵はもう目の前に見えているのですから。