ゴーグル型の端末を使い、仮想現実で遊ぶようなことが最近では身近になってきました。それでは我々が、映画「マトリックス」のように、圧倒的なリアル感を持って仮想世界の中で暮らすことは果たして可能でしょうか。そしてそれを作り上げることは、我々にとって、どういうメリットがあるのでしょうか。
(1)現実世界と同じほどの精緻な世界を作り上げる必要はない(であれば膨大な計算能力を必要とせず、実現可能性は高まる)
(2)この世界での長期記憶を切り離すことができれば、現実を忘れ、まさに新しい世界で「生まれ変わる」ことができる
(3)この世界において、健康的、経済的、精神的、法的な問題で、暮らすのが難しい人々を送り込むことができる
(4)自発的な者だけでなく、刑罰として対象者を仮想世界に送り込むことも考えられる
(5)仮想世界に送り込まれた人間は、もはやこの世界で政権に反抗したり、犯罪などの面倒を起こすことがない
(6)精神的、身体的、環境的なパラメータを、個人ごとに調整できるのが望ましい(ある人間は成功が約束されたものとして、そしてある人間は刑罰として苦しい人生を体験させる)
(7)アバターは、必ずしも人間のような存在である必要はなく、特別な能力をもった超人であったり、場合によっては、言葉を話すこともできないケモノや虫けらでも良い
(8)この世界での長期記憶を保ち、超人のようなアバターを持てれば、仮想世界において「神々」として振る舞い、人々を支配して楽しむことができる
(9)対象者は、この世界において必要最低限の生命維持装置を使って生かしておけば良く、コスト削減につながり、環境にも優しい
こうして挙げていくと、我々がいるこの世界も、上位の生命体によって作られたシミュレーション世界である可能性はあります。そういった世界がいくつもあって、その意味では多元宇宙というのはあり得るかもしれません。
死んだ後、もしかすると我々は高次の世界で目が覚めて、そこでの記憶を取り戻すことができるのかもしれません。しかしそこもまた、高次の生命体によって作られた仮想世界なのかもしれません。そして、その上の世界もまた…、と永遠に続くわけです。映画「インセプション」のようですね(笑)