神はいるのか、いないのか? もし仮にいたとしても、この物理世界や人間に関心を持っているのでしょうか?
神や悪魔と会話したという人もいるようですが、一般的に言って、神が存在するかどうかは不可知であり、誰にも分かりません。しかし、もし宗教が教えるような神が存在したとしたら、死後のことかもしれませんが、人にとって無視できない影響を及ぼす可能性があります。何しろ宗教はいにしえから現在に至るまで完全に否定されることなく存在し続け多くの人々をひきつけているのです。もし余裕があればそれに備えておくのが賢明と言えるかもしれません。
この世界はある程度まで公正が保たれているようにも見えますが、必ずしもそうではなく、突然の不条理に直面することもあります。悪い事する人間が栄えることもあります。多少手を汚さなければ、この世で成功を収めることは覚束ないわけです。
そのために人生の大半を世俗的に生きても、最後は良いことをしたいと、そう考える人々もいるのです。「アメイジング・グレイス」の歌詞を書いた人のように、例え奴隷商人としてあこぎな生き方をしながらも、最後は改心し良いことをして死んでいきたいのです。
お金持ちが寄付をしたり善行をしたりするのは、節税やイメージ戦略もありますが、それだけではなく「もし神が存在したら」ということに備えての保険でもあるのです。
一方、貧しく打ちひしがれた人々にとっても宗教や神様は有難い存在です。この世がどんな不条理や悪に満ちていても、助けがくる、死後は救いがある、と考えることで希望を持つことができるのです。
そういった意味では、その間に位置する多数の中間層こそが、この問題に対して何も考えず備えもしていない人々であるとも言えそうです。かくして宗教というのは、貧しい人達と富める人達の両極にとっては意義があるのです。