今話題の幼稚園のサイトを見ると、絵画制作や音楽演奏によって創造性を育むとのことです。
絵画や音楽を作ることが芸術的行為であり、創造的なことであると誤解している人が大勢います。しかしそれは違います。一般的なサラリーマンが創造的でないのと同じように、「芸術家」のほとんども創造的ではありません。
彼らのほとんどはコピーや猿まねに過ぎません。そもそも芸術という分野は、値段を決める「キュレーター」と資産を芸術品に変える必要がある富裕層が、「芸術家」の値段を決めているだけのことです。独創的であるかどうか、真に価値があるかどうかなんて、どうでも良いのです。
しかし「芸術家」は少なくとも何かを生み出しているではないか、と言う人がいるかもしれません。しかし何かを生み出しているのは芸術家だけでなく、サラリーマンや専業主婦だってそうです。
ポップカルチャーでのスターも広告代理店や業界の巧みな誘導でヒット作が生まれているのであって、自然発生的にヒット作が生まれているわけではありません。業界にはヒット作を作り続け大衆から金を巻き上げるスーパースターが常に必要なのです。
ということで、幼稚園児が絵画や音楽演奏に一生懸命になったからといって、創造的になるわけではありません。絶対的な基準がないから、幼稚園児の描いた落書きが「芸術だ」と言われて展示され、それを観た馬鹿な人たちが「ああ、そうか」と感心するだけのことです。
確かにある種の楽器は、幼児期からの教育が効果的ですが、巧みな演奏家が必ずしも芸術を理解しているとは限りません。
芸術、情操を謳う教育機関の本当の目的は、体育や習い事などで常に忙しくさせることによって、自分で考えずに命令に素直に従う人間を作ることなのです。
昔の創造性溢れる偉人達が、幼児期からスパルタ教育を受けていたかというと、そんな事はありません。むしろ落ちこぼれの方が多いのです。昔も今も創造性のある人はごく少数者です。それは教育によって生み出されるものではありません。もし「創造性を育む」などと謳っている教育機関があったとしたら、それは疑ってかかったほうがよいでしょう。