戦争というのは基本的には引き算です。同じような戦力を持つ国が戦ったら同数が死にます。12億の人口を持つ国と、2億の国が戦ったら、12億の国が10億人生き残って勝ちです。
ただし最新の技術を使った新しい兵器が現われると、この均衡は崩れます。ヒッタイトの鉄器に、古代中国の弩(おおゆみ)、火薬、鉄砲に、ライフル銃、蒸気船、ドレッドノート、航空母艦、そして核兵器です。
太平洋戦争末期に日本でも、新しい兵器が生まれます。カミカゼです。基本コンセプトは昔からある自殺覚悟の攻撃ですが、戦闘機に250kg爆弾を積んで組織的に特攻するのが画期的でした。
まだ誘導弾やミサイルが無い時代、この兵器は米軍兵士にとって脅威でした。そして物理的な破壊力よりも、その精神的恐怖の方が大きかったのです。
戦後、米国はこの研究に乗り出します。洗脳です。どうやって自殺覚悟の攻撃をする人間兵器を作り上げることが出来るか。それがテーマだったのです。
こうして生まれたのが自爆テロ攻撃です。またハリウッド映画では国の為の自己犠牲を賛美する描写がしばしば見られます。ナチスドイツからはマスメディアを使った効果的な大衆洗脳方法を学ぶ一方、日本からは国家的殉教心、周囲への忠誠心を利用した、狂人的な自殺兵器の育成方法を学んだわけです。