日本は、他国がまだ成功していない国民総背番号管理システムを作り上げようとしています。そして既に失敗しています。それでも彼らは計画を推し進めようとしています。不完全なシステムによって収集された個人情報は、犯罪者にとって格好の餌食となることでしょう。
背番号制度は、他国にもあります。ドイツでは個人情報が悪用されないように、わざと集中的な管理を避けています。背番号制度を採用している国では「なりすまし」が深刻な問題となっています。クレジットカードが悪用されたり、勝手にローンを組まれたりするのです。本人が早く気付けばいいですが、そうでなければ資産を失います。日本でそのような事態が発生しても「自己責任」で済まされてしまうでしょう。せいぜい「気をつけましょう」と警察が注意喚起を行うくらいです。
日本のシステムは、行政が集中的にすべての個人情報を管理できるだけでなく、個人が様々な手続きをポータルサイトで一括して行えるようなものを目指しています。他の国はどこも成功していません。
言っておきます。IT後進国の日本が成功することは絶対にありません。ハリボテのシステムを作るのが得意な日本人ですから、表面的にそれっぽいシステムを作り上げますが、穴だらけの酷いシステムが出来上がるはずです。それがもう既に露見しているではありませんか。
まともに運用できるかどうか定かでないシステムですから、セキュリティ面の考慮も十分ではありません。
管理用のダッシュボード画面では、対象者を選べば、顔写真や、年金情報、銀行口座、証券口座、クレジットカード情報がすべて見れるようなものを目指しているはずです。考えてもみてください。小汚い暗い顔をした役人が、あなたの個人情報を覗いているのです。忙しくはあっても興味本位で見る人はいるでしょう。しかも役人だけではありません。データ入力や運用に携わっているような業者も、管理情報にアクセスできるのです。
以前、妹が公務員によるストーカー被害を受けたことがありました。クルマですれ違った妹を見初めて、クルマのナンバーから住所や電話番号を調べたのだそうです。今回のシステムに関わる役人がそんな事をしないと断言できるしょうか。
長時間労働で毎夜ストレスに曝され欲情にかられた安月給の役人ほど危険なものはありません。性やカネに囚われた犯罪者となるのです。運用やデータ入力をしている人間は大丈夫でしょうか。次々に起こった資産家強奪事件では、自治体の情報が漏れたのではないかと言われています。似たような事が二度と起こらないと言えるでしょうか。
紙で管理されていた頃とは異なり、システム化によって電子的なデータを簡単に悪用することが可能となりました。気づいた頃には外国にキャッシュが送金されてしまっていることも考えられます。仕手株の手段として株が勝手に売買されているかもしれません。登録印鑑がコピーされて悪用されるかもしれません。被害届を出した頃には手遅れです。国が弁償してくれる訳がないですよね?
マイ○ンバーのポータルサイトにログインするには、カードの電子証明書が必要です。でも電子証明書だってハッキングされることがあるのです。管理者のIDやパスワードが漏れることもあります。役人だけでなく、運用者やデータ投入者も管理者なのです。役人はパスワードが頻繁に変わるのを嫌がります。パスワード変更が1年毎ということさえあります。
現在のパソコンはスタンドアロンや閉じたネットワークであることは少なく、インターネットと繋がっていることがほとんどです。もちろんファイアウォール等で不正なアクセスを防いでいるのですが、絶対ではありません。高いレベルのハッカーなら突破が可能です。しかもそのリスクに見合うリターンがあります。またIPアドレス制限が不十分だと、URLのみ、もしくはそれとID、パスワードが入手できれば、インターネットから簡単にアクセスできてしまう場合もあります。
それだけではありません。パソコンにはメーラーや、その他のアプリが同居しているのです。マイ◯ンバーに関わる実務作業は多岐にわたるため、専用の端末を用意するという贅沢なことができないのです。ファイル共有サイトやメール、チャット用ツールによって個人情報が漏れてしまうかもしれません。ウイルス感染や、不正なアプリによって情報が抜き取られることもあります。
パソコン自体にも問題があります。行政のパソコンは大体古いモデルを使っています。さらにセキュリティ対策を施していません。民間企業ならパソコンからUSBメモリやSSDを用いてデータを抜き取れないようにしています。操作ログも採取しています。けれども行政ではそこまでしていない事があるのです。USBメモリで情報を抜き取り放題です。強盗団に情報が渡ってしまう訳です。
OSやOfficeのバージョンだって最新ではありません。危機感はまったくありません。IT業者に丸投げしておけば何とかなると思っているのです。
背番号管理システムでは統合化が不十分なため、関係する様々なシステムに、個人情報が重複して置かれることになるでしょう。そういったシステムから情報が漏れていくこともあります。システムとのデータ連携は、人手により行っているので、間違いや漏れが発生します。
行政では重要な情報は紙で保管するのが基本です。それで運用していく仕組みになっています。電子化を進めると、却ってデータが紛失してしまう危険性が高まります。運用作業や入力のミスによってデータが失われてしまうのです。毎日バックアップをとっている訳ではないのです。そのバックアップだって、全てのデータではありません。古いデータはどんどん消去されていきます。
ある日突然、あなたの年金情報が消えていたという事もあり得るのです。あるいは別人の情報で上書きされているかもしれません。復旧させるために、過去のデータを手作業でつなぎ合わせるという手立てもありますが、もしそれが数百万人だったとしたらどうでしょうか。実質的に不可能です。紙で管理していた時代のほうが未だ良かったという事態になりかねません。
データが無くなる危険性だけではありません。一度流出した個人情報は消えません。どこかに残ります。とんだ「デジタルタトゥー」です。2万円につられてカードを作った人々が大勢います。それによって受ける被害は無限大です。まるで朝三暮四のサルです。
そもそも役人は全員カードを作っているのでしょうか。カードを持っているかどうか、尋ねてみるといいでしょう。さらに、一部の「上級国民」は個人情報収集の対象外となっているはずです。
それにしても、法学部や経済学を卒業した文系の学士がデジタル化を指揮しているなんて、日本だけではないでしょうか。口先でそれっぽい事を言っていても、実際はメールやツイッターくらいしか使ってないのです。
よしんば理系出身者であっても構想力がないので、世界が未だ成功していない背番号システムを作り上げることはできないでしょう。新しいものは作れないのです。もっとも、それが不可能だと気づく分だけ少しはマシかもしれません。
もし、全国民のデータを統合管理できれば、国民を効果的に監視できます。理想的なパノプティコンです。有事の際には迅速な国家総動員も可能です。
パランティアのCEOが去年来日して首相と会談しました。政府もビッグデータ活用に本腰を入れています。いっそのこと、総背番号システムのプラットフォーム構築もすべて海外企業に任せたほうが、良いものが出来上がることでしょう。
ゆりかごから墓場まで効率的に国民を搾取するシステムの完成です。うまい汁を吸うのは国だけではありません。大企業、外資、「上級国民」、そしてそこに犯罪者グループも加わるのです。