ディアベリ変奏曲は、ベートーヴェンの晩年に書かれたピアノ曲です。テーマと33個の変奏曲から成り、全てを演奏すると1時間前後もかかる大作です。
ピアニストの内田光子さんが、今年になって、この曲を録音し発表しています。YOUTUBEでも流されている紹介動画で「今まで書かれたピアノ曲のなかで、もっとも複雑で力強く独特な作品」と語っています。
同じように複雑で難易度の高い、ベートーヴェンの29番のピアノソナタ「ハンマークラヴィーア」と、30番から32番のピアノソナタは既に録音済ですので、満を持してこの曲を手掛けたというわけです。
本作品は演奏も難しく、著名なピアニストの中でも、ごく限られた人しか曲の魅力を伝えられていません。
ベートーヴェンの他の曲は、機械的で速い演奏でも充分な魅力があります。しかしこの曲に限ってはそうではありません。音楽として聴かせるためには、独特の間合いや表現が必要です。特にフーガから最後のメヌエットにかけての部分です。テクニックだけではなく、高度に音楽的なセンスが必要となります。
弾き手が「この曲をどう解釈したのか」「どこまで理解しているのか」が、そのまま演奏に表れてしまう恐い作品でもあります。
第32番変奏曲のフーガ
第33番変奏曲のメヌエット
www.youtube.com