日本人は、一個人がふざけた行為を撮影した動画を投稿して炎上してしまったというニュースが伝わると、決まって、「バカなの?」、「頭悪いの?」という決まり文句でさげすみます。愚かな行為を「バカ」と言って何が悪いと思うかもしれませんが、この「自動思考」には日本人の歪んだ心理が反映されています。
(1)権威に従順で、秩序正しいことが賢明だと刷り込まれている
(2)権威や世間が後ろ盾だという安心感があるため、つい我も我もと参加してしまう
(3)公の場で発言する際に、ことさら常識人ぶることで、自分もひとかどの人間であるという充足感を得る
(4)権威に成り代わり弱い個人を叩くことで、日頃の鬱憤を晴らすことができる
(5)同調行動により、日本社会への帰属意識を保つことができる
(6)実はそういった動画を見て、楽しんでいる自分がいる
これとは反対に、権力側の都合で法律が改正されて厳しくなったというニュースを聞くと、多くの日本人はそれを歓迎します。権威が増し、秩序が保たれるのは喜ばしいと思っているからです。実際は自分の自由が狭まり、冤罪の可能性が高くなったのに、そのことに考えが及びません。
明治時代、大日本帝国憲法が制定された際には、多くの国民が提灯行列をして喜びましたが、お雇い外国人のベルツは、彼らは、憲法の内容がどんなもので、それが彼らにどんな影響を及ぼすのか何も分かっていないと、軽蔑の言葉を残しています。
中東などで民衆が反政府運動や、抗議活動をしているニュースを見ると、日本人は「あいつらは頭が悪い」と思うようです。
しかし生活が困窮し、社会が悪化の一途を辿っても、何も感じない茹でガエルのような状態で、最後は滅ぼされてしまう有色人種の方が、余程、世界からみて愚かです。日本人はまず、正しく自分の姿を見て、己を知ることから始めた方がよいでしょう。もっとも、自分の姿を見た夏目漱石のように、発狂してしまうかもしれませんが(笑)