日本の企業が、日本語でそれらしく対話ができる人工知能をリリースしていますが、かけたであろう労力の割に独創性が乏しいもので、日本の最先端とされる人工知能研究ならびにビジネスの限界が見えるような気がします。
http://news.mynavi.jp/news/2016/10/25/104/
(1)ワクワクするようなものがない
例えば(AIではありませんが)IBMのワトソンだと、TVのクイズ番組に出て勝利しましたというトピックスがあります。Googleの「アルファ碁」はプロの棋士を破ったことで有名です。人寄せパンダ的なものではありますが、こういう分かりやすさがある事が必要です。
(2)これまでの技術の延長線上でしかなく、何が新しいのかよく分からない
ワクワクするものが無いのは、これまでの技術の延長線上にしかないものだからです。単に各研究所が作った既存のものを組み合わせてみましたというだけなのです。人工知能による会話というのはこれまでもあった訳で、それに精度のよい音声認識技術を組み合わせましたというものです。「ちょっとづつ改良し、ちょっとづつ機能が増えて良くなっています」という所が、いかにも日本的です。
(3)単なる翻案でしかない
外国ではやっているものを日本に翻案してみましたというものに過ぎず、「今はやりの人工知能、それを日本で日本語を使えるように作ってみました」というもので、猿真似の域を脱していません。
(4)一番大切な部分を外注、協業にしてしまっている
基本的な応対シナリオ作り、客に合わせたチューニングなどノウハウを蓄積できる大切な部分を外注や、アライアンスの相手に丸投げしてしまっています。これでは未来はないでしょう。
(5)「モノを作りました」で終わっている
結局、旧来の日本的なモノ作りから脱していません。「モノをつくりました。あとは営業、下請けや販売会社に売ってもらえばいい」みたいな考えです。プラットフォームやビジネススキームを作ったつもりになって、それだけで満足してしまっているのです。
(6)売り込みはBtoBの法人営業頼み
(1)の「分かりやすい魅力がない」というのにも関連しますが、書かれている説明がそっけないのです。要するに法人向けの商売だから、詳しい説明や売り込みは営業任せということなのです。ここに作り手の傲慢と、想像力の欠如、努力不足が垣間見えてしまいます。