現在、サービス業界においても生産性の向上が進められています。ただし貧乏人向けサービス業と、富裕層向けのサービス業においては、その内容と意図が全く異なります。
貧乏人向けサービス業の生産性向上とは、出来るだけコストを切り詰め、出来るだけ安くサービスを提供することです。これではもはやサービスとは言えませんが(笑)、この手の究極のサービスとは、人手をまったく介さずに、客の行為だけですべてが完結するようなものです。以下にいくつか挙げてみます。
(1)客への提供価格をどこよりも安くする
(2)セルフサービスの推進
(3)従業員をこき使う一方で、コストを削減し給料は据え置き、もしくは低減(残業を減らし休日を増やす)
(4)作業を機械化、マニュアル化し、コストの安い短期契約の非正規労働者を使うようにする
(5)仕入れも出来るだけ安いものにする。安全性、信頼性よりも安さが大事
士気が下がらないよう、「いろいろな仕事が出来てやりがいがある、作業負担も軽減される、きちんと休日が取れる」等と言って労働者を丸め込むのが経営者の手腕に依る部分です。そして労働者が騙されている間に、熟練労働者から安いバイトに置き替えていくのです。
一方、富裕層向けのサービス業における生産性向上はこれとは全く違います。ITやRFIDをスマートに使って、在庫管理、商品管理、顧客管理を機械化し、余った時間で、客個々人に応じたきめ細かい人間的なサービスを提供するのです。One to Oneマーケティングのみならず、O2O2Rと言って、ネットできっかけを作り、実際に上客には店舗に来てもらい、上質なサービスを提供する事でリピーターになってもらうのが目的です。
このようにサービス業界における生産性の向上と言っても、貧乏人向けと富裕層向けでは全くアプローチが異なり、この二極化が加速しているのです。