「 ハードロックの始まりとなった曲は何か?」という問いは良く発せられます。レッド・ツェッペリンの「コミュニケイション・ブレイクダウン」はその有力な候補のひとつです。ミッチ・ミッチェルの攻撃的なドラミングに触発されたジミ・ヘンドリックスの数々の楽曲もハードロックの元祖と呼べなくもありません。例えば「Manic Depression」はミドルテンポのハードロックと言えなくもないし、また「Fire」は、ディープパープルの「Speed King」にインスパイアを与えた事で知られています。ただ、彼の曲の根底にはやはりブルースがあります。
ロックと云うからには多かれ少なかれ、ブルースの要素を受け継いでいますが、「Communication Breakdown」はアフリカ系アメリカ人が作る音楽の雰囲気を極力排した、ゲルマン系の人々のロックです。ゆらぎの無い、規則正しい「縦乗り」のリズム、速いテンポ、シャウトするヴォーカルなど、後の典型的なハードロック、ヘヴィメタルへと連なる道を切り開いた曲です。
ジミー・ペイジのギターソロも素晴らしいです。今となっては良く使われるフレーズの組み合わせですし、速弾きとも言えませんが、スリリングでスピード感があります。ご存じの通りテレキャスターを使って録音されましたが、ギターの一番低い音から、チョーキングを使っての一番高い音までを巧みに織り交ぜています。基本的にはマイナーペンンタトニックスケールですが、途中でメジャーに転調する部分があるのも白人の曲らしい感じがします。
彼らのバンドがこの後も、同じ方向で突き進んで行ったわけでありません。ですから「レッド・ツェッペリンの代表的な曲は?」という問いであれば他の楽曲になるでしょう。しかし、ロックのひとつの大きな方向性を築いたという意味ではこの曲です。
Led Zeppelin - Communication Breakdown [Remastered HQ] + Lyrics
Fender エレキギター Player Telecaster®, Maple Fingerboard, Butterscotch Blonde
- 発売日: 2018/06/20
- メディア: エレクトロニクス