日本人は現実を正しく認識することが苦手です。日本では、上に立つ人々は失敗をしない事になっています。そのために誤魔化しや詐欺が常態化しています。彼らは生きている限りウソをつき続けます。通常、人はウソをつき続けると良心が痛みます。しかし「正しい事をしている」と自分自身を洗脳してしまえば、悪いことをしているとは感じなくなります。こうして、認知能力自体がそもそも歪んでしまうのです。
漫画やアニメは普通は子供が見るものです。ところが日本では大人も鑑賞します。確かに、アメリカの著名な評論家が、目の大きさに違和感を覚えながらも高く評価した日本のアニメ作品があります。それは良いのですが、日本人の口から「なぜ漫画の登場人物はあんなに目が大きいのか？」とか「なぜ登場人物が金髪なのか？」という言葉はあまり聞きません。そういう事は「お約束」として、疑問を呈する事さえはばかられるのです。
「月はどっちに出ている」という映画では、外国人労働者が「同じアジア人なのにどうしてこんな酷い事をするのか？」と日本人に尋ねたところ、日本人が「俺たちは白人なんだよ！」と答える場面があります。
日本人は妄想の世界に生きています。「放射能、ニコニコ笑えば怖くない」というようなニュアンスの言葉を発し、それを信じ込んでしまう人々です。免疫機能が高まれば病気にかかりにくいという事は分かります。しかし日本人は、問題をすり替えるのに加えて、不適切な表現を良く使うのです。それを有難く押し頂く人々の認識も、歪んで行きます。上の人々はキャッチーで、奇をてらった表現を言う事が許されていますし、それが期待もされていますので、余計この傾向に拍車がかかっています。
日本人は「いま何が起こっているのか？ 何が問題なのか？」を正しく捉えることができません。仮にそれが正しいとしても「それならばどうすれば良いか？」という答えが間違っています。さらに「それを実現するためにどういう体制を作り後方支援を行えば良いか？」という段階になると、ほとんど考えません。それはもっとも優先順位の低い事柄で、末端が適当に「精神力」で都合をつけることになっています。例え個人レベルで何かしら考えられたとしても、組織がそうは動いてくれません。
「日本は三権分立の国か？」という問いを発すれば、実際はどうであれ、全ての日本人が「その通り」と答えるでしょう。「日本は自由な国か？」というような曖昧な問いになると、もはや誰も疑う人は居ません。良識ある人間は、現実を正しく認識し、完全に三権分立が実現していないとしても、理想に向けて、現実をただそうとするものです。しかし日本人には理想や倫理が存在しないため、こういった自浄能力が一切ありません。文明国の仲間入りをするために、この国では、ただ形式だけが存在しているのです。
ここでは、地に足がついていない浮ついた妙なスローガンだけが、現れては消えていきます。「口先で相手を言い負かしたものが勝ち」という価値観に社会が染まっています。人々は「お上」の立場を代弁して説教をしたり嘲笑ったりすれば、「絶対に負けない」と信じ込んでいます。彼らは「この場面では、上の人だったら、どう考えるだろうか？」と、そればかり考えています。
気持ちは分かりますが、「遊びに行って、ウイルスに感染した奴は許せない」と医療に従事する弱者がＳＮＳでつぶやきます。となると、通勤の途中で交通事故に遭った人々は助けるが、休日に遊びに出かけて交通事故に巻き込まれた連中は助けるのに値しないのと言うのでしょうか。さらには「営業自粛しない奴等はけしからん！」とまで言います。彼らにとって人権などという言葉は無いに等しいのです。この国では弱者ほど「お上」の意図を推し量って、それを弱者自身の声として訴えるのです。普段踏みつけられている彼らにとっては、一時的に強者となれる良い機会です。
「こんな時だからこそ不満ではなく感謝の気持ちを伝えよう！」と人々は発言します。率先してこういった事を言うのが「正しいのだ」と彼らは思い込んでいます。 上がおかしな事を言ったり、滅茶苦茶なリーダーシップをとっても、下々は「一丸となって頑張ろう！」と精神力で乗り越えようとします。扱いやすい連中です。
「頭の良い」官僚をうまく使い、気の利いた事を言って、小賢しい野党やマスコミを黙らせる指導者達に、人々はやんやと喝采を送ります。愚民は嘲笑されているのに、指導者様に自分を重ねて良い気持ちになっています。彼らの運命は決しています。
