kurukuru89’s blog

主に原始キリスト教、哲学、心理、日本人について、気の赴くままに語ります。知識ではなく新しい視点、考え方を提供したいと思っています。内容は逆説的、独断的な、投影や空想も交えた極論ですが、日本人覚醒への願いを込めたエールであり、日本の発展に寄与する事を目的とします。(ここで言う日本及び日本人とはあたかもそれらを代表するが如く装うが、理性が未発達な為、感情的に動き、浅薄な信条に左右され社会に仇なしてしまう集団や人々を主に指しています)これらを通して人間に共通する問題をも探り散文的に表現していきます。

ピアノソナタ第29番(作品106)の斬新な響き

ベートーヴェン後期の傑作、ピアノソナタ第29番(通称、ハンマークラヴィーア・ソナタ)は、ピアノの音響効果を最大限に活かそうと試みた曲で、今聴いても目の覚めるような感じを受けます。

古典的なところもあれば、中期のような堂々と充実した部分もあり、さらにロマンチックな部分や、最後のフーガのように革新的な所もあり、その長大さもあって様々な楽しみ方ができる曲です。

知性と情熱性とが絶妙に釣り合い、さらに意表をつく音の飛び方や所々で聞かれる半音進行、異例な音の組み合わせ等、飽きる事がありません。第3楽章を除いて全て変ロ長調というのも珍しい構成です。

 

第1楽章は、まるで一気呵成に書き上げた様な勢いがありながら、緻密な構成も感じられる見事なソナタです。力強く何とも言えない高揚感を覚えます。その目覚しい音響効果だけでなく、一際高い音楽性を感じられる曲です。

 

軽快なスケルツォの第2楽章は、目眩く様に表情を変えますが、Prestissimoで駆け上がった後、トライトーンを含む和音(E♭dimにFの音)が不気味に鳴り響く部分(12:27~12:33)が印象的です。

 

第4楽章は、静かに始まりテンポや調を変えながら一気に盛り上り、トリルが印象的なデモーニッシュでアグレッシヴなフーガが大規模に展開されていきます。

ちなみに変ロ長調の大規模なフーガというと、7年ほど後に作られる弦楽四重奏曲「大フーガ(作品133)」がありますが、そちらも極めて大胆な響きと構成の作品です。

www.youtube.com第一楽章:0:18~10:57

第2楽章:11:00~13:35

第3楽章:13:53~34:10

第4楽章:34:34~46:00