映画「パピヨン」でスティーブ・マックイーン演じる主人公が最後に放つ台詞です。仲間の裏切りによってフランス領ギアナのデビルズ島で無期懲役囚となったパピヨン("Papillon")と呼ばれる受刑者が脱獄するまでを描いた実話に基づく作品です。
岸壁から飛び降り、海を漂流し陸地にたどり着こうとする、一か八かの賭けですが、彼はそれに勝利しました。
無謀な計画に協力してくれたダスティ・ホフマン演じる偽札作りの受刑者仲間は彼を止めようとするも決意は変わらず、固い抱擁を交わしますが、虫けらのようにもがくパピヨンの姿は水平線の彼方に消えもう生死も分かりません、恐らく生きてはいないだろう、彼はゆっくりと海に背を向けて何時もの日常生活に戻っていきます。
考えようによっては定めを受け入れ周りと上手くやっていければ流刑地の生活も悪くはないのです。しかしそれでもパピヨンは弱った体に鞭打って自由を求め海に身を投げます。
海の上で頼りなげに浮かびながらも精一杯声を張り上げて叫ぶ「俺はくたばらねえぞ!」(吹替時台詞)という言葉は、彼を陥れた仲間、罪に定めた裁判官、酷い仕打ちをしてきた刑務官、成功の見込みは無いだろうと思っていた同じ受刑者、そして過酷な人生を受け入れさせようとした神、それらすべてに対する、決して屈しない彼の強い意志を表明したものでした。