煽り運転のあげく、クルマを停止させられたらどうするか、その対処法がSNSや各サイトに載っていますが、本当にこれらが適切な対処方法なのでしょうか。問題点を挙げてみましょう。
(1)「クルマを止めさせられそうになったら、安全な左側に寄る」なんてことができるでしょうか? 向こうは無理やり停止させようとしているのです。そんな都合の良い場所に止めさせてくれるわけがありません。
(2)ドアをロックし、窓を閉めて、ハザードを炊かなければならないのですが、こういった思いがけない緊急時に、これだけの事が短時間で冷静に出来る人が、どれほど居るでしょうか。件の事故でさえ、夜間なのにハザードを炊く心の余裕すらなかったのです。ドアを開けられたり、窓に腕を突っ込まれたら、もうアウトです。無理やり排除したらあなたが加害者になる危険性さえあります。
(3)警察が来るまでクルマの中で待つということですが、警察はすぐに来てくれるのでしょうか。そもそも事件でも事故でもなく、ただクルマが2台、路上に止まったというだけのことです。法律違反の明確な証拠は現場では検証不可能です。警察だって暇ではないのです。少なくとも「相手がクルマを壊しています。」とでも言わなければ、来てくれる可能性は全くないでしょう。(「対処法」を発信しているのが、警察ではなく、クルマ雑誌関係者であったり、元警官の話だったりすることに注意してください。警察は何も公的な見解を述べていません。煽られて止められたぐらいで、警察は対応できないと暗に言っているのです。)
(4)警察は来てくれない、通りすがりのクルマからは「邪魔だ!」と言われクラクショを鳴らされたり、意図的に無視される。相手からは、降りて話をするように迫られる。諦める様子はない。どうしますか? いつまでもクルマに閉じこもっていても、らちがあきません。事故の危険性も高まります。結局はあなたが何らかの行動を起こすしかないのです。
(5)クルマに籠っているあいだ、相手に対して「謝る」、「絶対に謝らない」、「無視する」など様々なことが言われています。どれが良いかは状況や、その後、どう対処するつもりなのかによって変わってきます。結局は自分で考えて行動するしかないのです。
日本人は自分でものを考えるのが苦手なので、こういった情報に安易に飛びついてしまいます。警察に頼れば何とかしてくれるという幻想も抱いています。
この件に関して、どうすべきかというのは状況によって変わってきます。いずれにせよ自分で行動を起こして解決するしかありません。場合によっては、相手のクルマに接触してでも逃げた方が良い場合もあるでしょう。もちろんあなたは加害者になりますが、事件、事故になるので、警察が来てくれるかもしれません(笑) 不満かもしれませんが、それが自己責任の社会というものです。