このような感じの文章がSNSで流れていた事がありました。
すなわち、当たり前を有難うと言うのが感謝であり、もう駄目だをこれからと言うのが希望であり、疲れたを頑張ったと言うのが努力である、というものです。
まさに日本人の典型的な偽善的思考があらわれているように感じます。心がこもっていなくても、表面上だけでも仲よくしておこう、という考えです。それが礼儀であり、気遣いだと思っているのです。とりあえず、ウソをついて相手を騙し、適当に相手を気持ちよくして今をやり過ごせればいいのです。
後半に至っては一種の自己洗脳です。状況を客観的に見ることができずに、自分を誤魔化しながら決して諦めず、耐え続けるのです。上に書いてあることを馬鹿正直に信じて、こんな心構えで人生をずっと生きるというのは、本人にとっても周りにとっても悲劇でしょう。
日本人はフランクに人と付き合うことが苦手です。彼らは、為政者達によって作られた酷い社会システムや慣習に縛られ、さらに過酷な気候の島国に閉じ込められて鬱屈している人達なのです。ですから、心にもない綺麗事をいって、希望に満ちた社会であるという自己欺瞞にみんなで浸るしかないのです。彼らは決して現実を見ようとせず、常に自分と周りとを欺き通します。
自己洗脳についてはこんな事を思い出します。以前、医学部教授が書いて話題になった一般書があり、内容は、まるでゴーストライターが書いたような酷い代物でしたが、同じ大学出身者が、後輩に向かって、あり得ないような一生懸命さで、この本の内容の良さを力説して読むように薦めていたのです。一種の忖度ですが、このような嘘を付くには自分自身も騙す必要があります。言わば自己洗脳のシステムです。
お上が決めたことは、巧みな説得により、リストに挙げられている御用学者、政治家、メディアのキーパーソンに浸透していき、その結果、メディアによるプロパガンダとなったり、会社組織の方針として底辺の人々まで伝わっていくのです。説得というのは洗脳のごく基本的なテクニックのひとつです。
日本人というのは周りに嘘をつき、自分自身でさえも騙して、皆でゆっくりと死に向かっていく「ゆでガエル」のような人達なのです。