日本はIT産業に力を入れているようにも見えますが、今のままでは絶対に生き残る事はできないでしょう。将来の崩壊を予感しながらも、束の間のカネ儲けをしているようです。
いうまでもなく日本のIT業界は、建設業や他の多くの産業と同じく多重下請け構造となっています。官庁や大企業などの発注者がいて、元請け、そして何重もの下請け、孫請けが存在するわけです。実際にプログラムを作るプログラマー、コーダーは、最底辺に位置する労働者です。
極端な話ですが、一人頭300万円で発注した仕事が、管理費や基本設計の費用などが抜かれて、最終的に50万円程度で発注されることになります。
海外ではシステムエンジニアやプログラマーというのは発明家と同じように創造的な仕事と見なされていますが、日本ではきついが誰にでも出来る仕事と見られています。そもそも日本ではシステム作りに創造性は求められていないのです。
日本では客の我儘な要求に合わせて、カスタム的に業務アプリを作り上げるのが主流です。海外では予め用意されているパッケージソフトに業務を合わせるのですが、日本ではスクラッチ開発で一から作り上げます。パッケージを用いたとしても、客に合わせて仕様を細かく変えるのが普通です。
300万円もらってそれに見合った創造性をいかんなく発揮して主体的に作り上げたシステムと、50万円もらって言われるがままに行った仕事とでは、勝敗は明らかです。
日本のプログラマーは消耗品です。自発的に創造性を発揮し仕事をしても、それは全く報われず、相次ぐ仕様変更と劣悪な環境で、心や体を病んで消えていきます。
内需はどんどん先細りになり仕事は減っていくが、日本でしか通用しないので海外展開ができない。それは日本の注文住宅を海外で売ろうとするようなものだからです。日本のメーカーや、システムインテグレーターは、この狭い日本で官庁や自治体、大企業に寄生しながら細々と商売を続けていくしかないのです。