誤解されていますがルシファーは悪の権化ではありません。この物理世界で善と悪を創ったのはルシファーですが、彼は人間が悪の誘惑、また過度な偽善者となる誘惑に打ち勝って絶妙なバランス感覚を持って物事を解決していく事を求めているのです。
問題は、これがすこぶる難しく、人間にはほとんど不可能なことです。いや地上にアバターとして降りてきた多くの御使い達でさえ不可能だったのです。
ルシファーがこの物理世界を作り変えた時、多くの御使いが彼に賛同し協力をしました。御使い達でさえ、物理世界で人間が善悪を巡って戦い最終的に善が勝利をおさめるというプロジェクトは悪くはないものに見えたのです。
社会において、家族のなかで、あるいは天災や事故で人々は、様々な問題に直面します。また感情や無意識が我々に矛盾と葛藤をもたらします。これらはルシファーから人間に与えられた人生の課題なのです。物事や心理には原因と結果がある。この問題を解決せよと、ルシファーは常に問いかけているのです。
ルシファーはカインを心理的葛藤状況に置いたうえで、こう問いかけました。
そこで主はカインに言われた、「なぜあなたは憤るのですか、なぜ顔を伏せるのですか。正しい事をしているのでしたら、顔をあげたらよいでしょう。もし正しい事をしていないのでしたら、罪が門口に待ち伏せています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを治めなければなりません」。(創世記4:6)
ルシファーは自ら悪を成すことはありません。配下の御使い達も、善の神と悪の神を演じているだけです。ノアの洪水後に役割を失って、やさぐれてしまった御使い連中は「悪霊」と呼ばれています。ルシファーが狡猾なのは、御使いや人間をそそのかして、罪を犯させていることです。サイコパスと同じでそそのかすだけなら良心は痛まないのです。
身の回りで起こる様々な問題の解決や、仕事での日々の進歩や「カイゼン」、科学の究明に夢中になると、ルシファーの仕掛けた罠にはまる恐れがあります。あわれな人間にとって懸命な問題解決方法は「許容(あきらめ)」と「許し」です。