東京近郊にある財閥系遊園施設が労働者の給料をカットし続け、離職率が高くなったのですが、それを理由としてまた値上げを行っています。この施設は過剰な程のホスピタリティを売り物のひとつとしていました。顧客満足度も高かったのです。
こういう過剰なサービス精神というのは、以前のお人よしの日本人にあったものですが、このところの給料カットで、さすがにそんな事までしていられなくなったようです。まさに衣食足りて礼節を知るです。まともに暮らしていけなければ、自己満足の理念や奉仕の精神、そしてプライドもかなぐり捨てるしかありません。
過剰なサービスというのは金持ちが受ければ良いのであって、一般人には不要のものです。接客も、ホテルのコンシェルジュのように、きちんとカネをもらっていて特別なトレーニングを受けた正社員がやれば良いことなのです。貧乏人も楽しめる遊園施設などは、もう成り立たないのです。
貧乏人は金を投げるように支払い、店員も投げるように商品をよこす。店員は隙あらば騙してやろうと考え、客は騙されないよう、あわよくば盗んでやろうと考える。これがこれからの世界標準というものです。
中国や韓国、その他の外国と比べて、日本人は親切で洗練されていて、おもてなしの精神に溢れている。そういった幻想は、新聞やTV、ネットのまとめサイト、動画サイトに溢れているプロパガンダです。「おもてなし」の精神というのは、戦後日本の、束の間の平和と経済成長、そして教育がもたらしたものであって、そんなものは今や土台から腐り始めているのです。
そもそも、「おもてなし」というスローガンそのものが、如何にも日本的なものです。政府の支援やカネやモノが無くても、個々人の努力や精神力でおぎなえというものです。日本人の精神至上主義がよく表れている言葉です。
一部の人間だけで盛り上がっているカネで買った「東京オリンピック」。果たして貧乏なボランティアの日本人に「おもてなし」が出来るのでしょうか。カネで誘致した外人観光客達にあられもなく、ニコニコと微笑み接客する。商売人ならともかく、何とも卑屈で愚かしい行為ではありませんか。