「ゼノンのパラドックス」というものがあります。古代ギリシャの哲学者であるパルメニデスによって提唱され、ゼノンがそれを受け継いだものです。その一つ を簡単に説明すると、地点Aから地点Bへ移動するには、途中で無限の地点が存在し、その無限の地点を通過するには、無限の時間が必要であり、したがって運 動は不可能であるというものです。
実はパルメニデスの言っている事は全くその通りです。では何故、運動が可能かというと、地点Aから地点Bの間に存在する地点は有限だからです。つまりこの物理世界もコンピュータと同じくデジタルの世界、格子状の世界なのです。
パルメニデスの言っている事を理解できた人間は、その当時、ほとんど居なかったようですが、現代の我々なら容易に理解できます。
た とえばパソコンゲームのプログラムを考えて見ます。画面上のキャラクターを左から右へ素早く動かす場合、Xの値が0から50まで1つづつ進めという命令を 出します。しかし昔のパソコンでは性能が高くない為、0から50まで5つづつ進めというという命令を出して、速く動かそうとします。つまり0から50の座 標では無く、あたかも0から10までの座標であるように動かせば、速くキャラクターが動くわけです。
しかし逆にこの座標が、100、1万、100万、1兆とどんどん増えていったらどうなるでしょう。動きはどんどん遅くなり、ついには、ほとんど動けなくなってしまいます。
以上のように、仮想世界の空間が、すべて、x、y、zの3つの座標による有限の地点で構成されているように、この世も有限の最小単位で、空間が構成されているのです。だから物理世界の空間の中でも、物体の移動が可能なわけです。
時間において、最小の時間であるプランク時間があるように、空間においても最小の空間の単位があるはずです。これは面白いテーマです。これが証明できれば、この物理世界は誰かが構築したシミュレーションの世界だという可能性が、さらに高まることになるでしょう。