メル・ギブソン監督の、沖縄戦における実在の衛生兵の活躍を描いた映画、「ハクソーリッジ」を観ました。米国では既にDVDが発売されていますが、日本では公開日もまだ決まっていません。
この映画は特に日本兵を異常なものとして描いているとか、悪意が込められているということはなく、極めてニュートラルな描写の映画であると感じました。冷静で客観的です。
それだからこそ気づくことがあります。艦砲射撃をしても、陣地を奪っても、相手を倒しても倒しても、日本兵の士気は衰えず、地下壕から這い出てきては、アメリカ兵を悩ませます。米軍は何度も突撃をくりかえし、地下壕を爆薬と火炎放射器で焼き払って、初めてごくわずかの生き残った日本兵が投降するのです。
映画の描写自体は非常に公平なのですが、あらためて見る日本兵はまるでゾンビのようです。形勢が不利になっても、負けが確実でも、負傷しても、降伏せずに攻撃してくる。自爆もする。これは不気味です。
原爆を落としてやっと日本を降伏させることができた、それでなければ多大なる犠牲を双方で払うことになっただろうという理屈に首肯せざるを得ないのです。日本だって降伏するきっかけが欲しかったのです。
通常、戦場での死亡率は5%程度と言われますが、日本兵のそれは20%以上と突出していました。
それほどまでに戦場の日本兵というのは異常だったのです。